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Apple Watch vs. Garmin - 特にカヤックで使うスマートウォッチのベストプラクティス

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エッセー カヤック トレッキング フィットネス スマートウォッチ AppleWatch Garmin

Apple Watch と Garmin を使っている。これまで使っていた Apple Watch は次の 3 つ。

  • 初代 Apple Watch
  • 第 4 世代 Apple Watch (これは琵琶湖に沈んだ)
  • 第 5 世代 Apple Watch

Garmin は FENIX 6X を使っている。カヤックや山などのフィールドに出る場合や、普段使いの観点から Apple Watch と Garmin をレビューしてみる。


プラットフォーム
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Apple Watch は iOS が提供している フィットネス(旧アクティビティ)や ヘルスケアのアプリにデータを集約するので iPhone ユーザーなら面倒が一切ない。一方 Garmin は Garmin Connect というクラウド上にデータがアップロードされる。ランニングに Garmin を使っているユーザーは多く、SNS として使える。
なお、iOS のフィットネスに Garmin Connect のデータを連携するのはちょっと面倒で、現状は Strava というサードパーティのアプリを経由しないといけない。追加のアプリを 2 個インストールする必要がある(どちらも無料)。

アクセサリー
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Apple Watch のシリコンスポーツバンドがよくできていて、装着時の負担感がない。Garmin は正直微妙。社外製のものを色々試そうと思っているが、 FENIX 6X 用の 26mm はそもそも選択肢が少ない。そもそも 1.4 インチディスプレイの FENIX 6X はデカすぎるのも付けにくい要因だと思う。

操作感
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Apple Watch は DigiCrown/ホームボタン、サイドボタン、及びタッチスクリーンで操作する。物理ボタンが片側に寄っているので、カヤックのように体勢が固定されている時などの操作は容易。だが水で濡れるとタッチできなくなったり誤作動するので複雑な操作は難しくなる。常時 Retina 表示ディスプレイは美しい。

Garmin の FENIX 6X にはタッチスクリーンは搭載されておらず、左右で合計 5 個の物理ボタンで操作する。当然水に濡れても機能するのでカヤックの際にも確実に操作できる。一方で、操作する手と反対側に配置されているボタンに押しにくさがある。ディスプレイの見易さに難点はない。

バッテリー
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バッテリーの持ちは圧倒的に FENIX 6X。放っておいても 1 週間くらい動作するし、Dual Power モデルは太陽光でちょびっと充電してくれるのでさらに長持ちする。GPS が作動するアクティビティの計測をしながらだと 50 時間くらいは連続で動作するらしい。GPS 測位の頻度を抑える Expedition モードを使えばさらに長持ちする。バッテリー充電も早く、1 時間くらい車のシガーソケットにつないでおけば充電は 100% になっている。

充電されている

一方で Apple Watch はどうしてもバッテリーがネック。通常動作なら 1 日でバッテリーは尽きる。アクティビティ計測で GPS の軌跡を採ると 3-4 時間でバッテリー切れになってしまう。試したことはないけれど、山で本気で使うなら 2 台持ちは必須だと思う。

カヤックで Apple Watch を使う上ではいくつかコツがあって、例えば、Apple Watch には手首を返した時にスクリーンをオンにする機能がデフォルトで有効になっているけれど、これは無効にするのが良い。有効のままだとパドリングの度に画面がオンになって電池がすごい勢いで消耗する。普段使いではこの機能はとても便利で(無効にしていると時計をみるたびにスクリーンにタッチする必要がある)、カヤックを漕ぐたびに設定を切り替えるのが面倒だ。

活動中に地図を見る
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Apple Watch では iOS 標準のマップアプリで地図を見ることはできるけど、フィールドで使える地図を見るにはサードパーティのアプリが必要。個人的にはヤマレコがおすすめ。余談だけれど iPhone 単体なら Geographica、FieldAccess2(サポート終了で現在は使えない)などが使いやすい。地形図に特化したカシミールの スーパー地形と言うアプリもあって、Apple Watch に対応している。

Garmin の地図表示は優れていてさすが GPS デバイスのベンダーといったところ。周辺地図を含め現在地の確認が簡単。デイツーリング程度のフィールド活動なら全く問題なくこなせる1。難点をあげるなら地図のズームイン・ズームアウトの操作が面倒で、地図表示のスピードが遅いこと。高速化された上で Apple Watch の DigiCrown のような物理ボタンで操作できるようになると嬉しい。

アプリ
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アプリについてはプラットフォーマーの Apple Watch の圧勝。例えばヤマレコの開発者も WatchOS 用アプリの開発に力を入れているようで、機能のリリース速度は速く、よく Twitter で機能追加をアナウンスしてくれる。地図読みや GPS の利用に不慣れな登山者は多いはずで、例えばこのルート外れ警告機能は革命的だろう。

ヤマレコの中の人は登山が好きなようで、ガチのフィールド活動の実践者が市場に自由に2参入できるようになっているのは Apple Watch の強みだと思う。Garmin も一応アプリ開発はできるけれども、残念ながらプラットフォーマーの Apple には対抗できない部分だろう。

GPS の軌跡を扱う
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ランニングや自転車などのアクティビティを Apple Watch で計測すると、フィットネスのアプリ上で地図上に示された軌跡を見ることができる。つまり GPS の軌跡がデータとして記録されているわけだが、これを取り出す方法は公式には提供されておらず、ちょっと面倒。 Workouts++というサードパーティアプリを経由すると抽出できるようだ。

私は適当な自作の iOS アプリを作って吸い出している。App Store で公開していないけれど自分でビルドすれば使える。

kamataryo/geo-activist

Garmin の場合は GPX ファイルを取り出すのは簡単で、 Garmin Connect にダウンロードアイコンがある。

Garmin Connect から GPX ファイルをダウンロード

その他
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Apple Watch でカヤックのアクティビティを計測する時に変な挙動があって、アクティビティをオンにしてパドリングを始めるとアクティビティが一旦停止状態になってしまう。その間は GPS 測位を初めメトリクスが記録されないので、しばらく活動した後にそれに気づいてがっかりすることが多い。水に濡れるとアクティビティを一旦停止するのかもしれない。

Apple Watch での支払いはとても楽。Apple Pay は Quick Pay や iD 、交通系電子マネーを内包していて、サイドボタンのダブルタップだけで支払い可能な状態になる。Garmin は Garmin Pay という機能を搭載しているのだけれど、使えるのは Suica だけ。

Garmin の ボディバッテリーという機能が優秀で、これは一日のエネルギー残量的な値を 0-100 で示してくれる機能。その他フィットネスに伴う肉体的なダメージからのリカバリーに必要な時間も表示してくれる。これらの値は身体的な実感と合っている。当然 Apple Watch では使えない。iPhone のフィットネスから Garmin Connect にはデータをインポートできれば機能するようになるかもしれないが、その方法は見つけられていない。ボディバッテリー機能を使いたいけれど、Apple Watch を普段使いしているので正確なデータを反映させられないのが残念。

血中酸素飽和度 3 は赤血球がどれだけ有効に筋肉に酸素を運べているかを示す血中酸素飽和度は高山病診断の重要な指標。第 6 世代 Apple Watch (使ったことはない)で血中酸素飽和度の計測機能が追加されたようだ。心拍数測定の時は時計の裏側で緑色の LED が光るが、血中酸素飽和度は赤色 LED が光る。また、Garmin も追随して同じ機能をローンチしている。FENIX 6X でも製品のリニューアルではなくソフトウェアアップデートで有効化されたので、当初からスコープに入っていた機能なのだろう。

総括
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当初は Apple Watch をカヤックで使っていたが、バッテリーと地図表示の容易さの点から Garmin を使うようになった。半日以上のフィールド活動の際は Garmin にしている。トレースの吸い出しも、自作の謎アプリではなく公式が提供している機能でできるのも良い。一方で日常的なランニングや水泳などに Apple Watch を使っている。付けていても負担が少なく、決済機能の利便を採っている。


  1. と言っても、縦走や長距離カヤックツーリングでは 1/25,000 地形図や海図は必携だろう ↩︎

  2. Apple の囲いの中ではあるけれど ↩︎

  3. 新型コロナウィルス感染症の重症化の判定に使えそうだと思ってしまいそうだが、医療用途として過剰な期待はしない方がいいと思う ↩︎