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書評: ゼロからトースターを作ってみた the Toaster Project

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書評 DIY ポスアカ 金属加工

トーマス・トゥエインツ著、村井理子訳、 ゼロからトースターを作ってみたを読んだ。アートを専攻する大学院生の著者が、トースターをゼロから作った体験談とエッセーを綴っている。鉱物を集め、金属を精錬し、プラスチックの精製のために原油を探し求める、トースターを本当にゼロから作ることを試みる異色のDIY本(?)だ。

トースターを作るために必要なのは、パンを支えるフレームの鉄、樹脂製のカバー、断熱材のマイカ(雲母)、発熱体のニクロム線になるニッケル、電線に使う電導体の銅、それから絶縁体のゴム。

原材料を調達する過程で、鉄鉱石鉱山の衰退を感じたり、地域の人たちとの交流を経験し鉱山を見つけたり、石油メジャーのブリティッシュ・ペトロリアムに塩対応されたりする。トースター1つをとってみても全ての原材料を自力で調達するのは難しく、社会のつながりを意識する予定調和は退屈だが王道だ。


読んでいて危なっかしいのは評価が別れるところだと思う。電子レンジを改造して銑鉄を精錬したり、マイカ鉱山を求めて軽装でフィールドを出歩き、学位審査会で銅線むき出しのトースターを200ボルトを超えるイギリスの家庭電源に繋いでいる。ゴムが入手できないのであればせめて木材で絶縁するとかやり方はあったはずだ。

危ない絶縁なしの配線

そんな「学生ノリ」の蛮勇が本書の持ち味なのだと自分に言い聞かせて楽しみたい一冊。