岡山県日生町の有人島、鹿久居島(かくいじま)をカヤックで一周した。
アプローチ#
新名神経由で赤穂市まで。
台風 14 号が接近しているため、風の状況は悪い予報でなおかつ下り坂だったが、最終的に現地判断で出艇の可否を決めることにした。
コンディションがシビアになりうると考えたため、多めの行動食と非常食(2,500kcal 分)を買い込んでおいた。
当初は入電の浜という謎の地名の海岸(ほとんどインターネット上のカヤックレポートだけでのみ名前が確認できる)から出艇するつもりだったが、夜釣りの客が多かったので少し離れた福浦海岸という場所でテント泊した。海岸はケミカルな匂いがしていて、すぐ隣の採石工場から定期的なブザーの音が聞こえる。
雨は一晩中降っていた。
翌日は 7:00 ごろに起床し、テントを片付けて米を 1 合炊いた。
いつもならカヤックが完成したころにいい感じに米が炊けているのだが、雨が億劫でゆっくりカヤックを組み立てていたので、8:00 を過ぎてしまい隣の採石工場からラジオ体操の音が聞こえてきた。
前夜泊でも前日にカヤックの組み立てが終わっていないと出艇がかなり遅くなってしまう。
今回は本当にカヤックが出せるか分からなかったので、雨の夜に作業するのが嫌だったのもあり、組み立ては朝までしなかった。
福浦海岸から鹿久居島#
見える範囲で海況は問題なく感じたので出艇可と判断。
風は太平洋上の台風に吸い込まれる形で終日オフショアの予報。
出艇地点から鹿久居島の南東の岬が見えていて、そこを回り込んで風裏になるまでが核心だと考え、その時点で引き返すか判断することにした。
隣の採石場では船に積んだ砕石を定期的にどこかに運んでおり、航路が被らないようにタイミングを見計って出艇。透明度はほぼゼロで、ボラやメナダがしきりに跳ねていた。
出艇から鹿久居島に近くまではほぼ無風だったが、核心の岬付近ではややオフショアの追い風が吹き出していて、岬付近では潮流も感じた。
特に問題なく通過できると感じたためツーリングの継続を判断した。
事前の予想どおり追い風と追い潮だったので良いペースで進む。
鹿久居島南岸、鶴島、頭島#
鹿久居島東部はほとんど開発されていないらしく、未開発の沿岸が続いている。
鹿久居島という名前そのままでニホンジカがいるらしく、ニホンジカの声もたびたび聞こえた。
鹿久居島の南にある鶴島にはキリシタン遺跡というものがあるらしく、可能なら上陸したいと計画していたが、台風のリスクを考えてオプションは止めることにした。
鹿久居島と頭島(かしらじま)を結ぶ頭島大橋を抜けると島が入り組んだ景観が広がっていて、なおかつカヤックで容易に水路に進入していける距離感なので、まるで迷路にいるような印象を受ける。
鹿久居島の西部の海峡は小豆島と日生町を結ぶ両備フェリーの航路になっている。
鹿久居島北岸、備前 ♡ 日生大橋、スナメリ#
鹿久居島の北岸は海岸線のほぼ全ての場所にカキ養殖の抑制棚が設置されていて、大量の採苗連が吊るされていた。
鹿久居島と本州を結ぶ橋は備前 ♡ 日生大橋で、ハート ♡ の文字が入っている珍しい名前の公共構造物。国土地理院の地図でも ♡ が入っていたが、海上保安庁の海図ではノリが悪く備前日生大橋というラベルになっていた。
鹿久居島と本州の間は「うちわだの瀬戸」という湾曲した水路になっていて、白いエビがたくさん棲んでいるらしく、カヤックに驚いて水面から跳ねていた。
「うちわだの瀬戸」を抜けると風がかなり強くなっていて、体感で風速 6m ほど。スピードも時速 4km 程度しか出ない。途中カヤックを確認しに近づいてきたスナメリを数頭見ることができた。
がんばって風上の出艇地点に漕ぎあがり、上陸して、カヤックを分解して撤収。
総括#
- 航行距離
- 21.55km
- タイム
- 3 時間 46 分
- 消費カロリー
- 1,220kcal
- 今回は海図を携行しない代わりに Garmin ウォッチの地図を本格的に使ってみた。Apple Watch に比べれば電池の持ちは遥かにいい(無充電で数週間持つ)し、オフラインで地図も使えるので便利
- ウェアはドライスーツを持って行ったが、これは正解。水温はまだ高いが、気温は低く雨で濡れっぱなしだった