尾鷲市の飛び地、須賀利へ行ってきた。須賀利の集落へは車で行くことができるが、山の向こうに須賀利大池という池があって、ここへは山を越えるか船を使う以外に行く術はない。今回は銚子川の河口からカヤックでアプローチした。
銚子川#
銚子川は南紀の清流として有名で、近年メディア露出が多く夏になるとたくさんの人がやってくる。短い川で、少し遡ると魚跳渓という滑らかな巨岩が連続するエリアがあり、泳ぐととても楽しい。魚跳渓までの間にはダムがなく、ボウズハゼやアユ、ウナギ、テナガエビ、モクズガニなどの通し回遊性の魚類や甲殻類をたくさん見ることができる。
国道42号が調子川を横断する銚子橋より河口は感潮域で、ゆらゆら帯と呼ばれる塩水くさびが観察できる。干潮でなければギリギリカヤックで通過できた。
河口から須賀利半島へ#
須賀利半島沿岸は海食崖が発達した景観が見られる。洞窟などもあり、かなり見応えがあるが、隠れ岩が多くうねりがあるとブーマーになってかなり危ないように感じる。崖下が棚上になっていて渡船で渡ってくる釣り客が多い。
右手には佐波留島(さばるじま)があり、ここはアオサギの繁殖地として 県指定の天然記念物 になっているけれど、数年前に仕事で行った際は営巣後を含めて全くアオサギの痕跡はなかった。サギ類の営巣地はちょっとした環境の変化ですぐ変わるものと思っている。
須賀利半島には3つの半島に囲まれた2つの湾があって、東側の湾の奥に須賀利の集落、西側の湾の奥に須賀利大池がある。この時は外洋からの強い風が山を乗り越えて吹いており、かなり船足が遅くなった。
須賀利大池#
今回の目的地の須賀利大池は 海跡湖と呼ばれる池で、過去に津波が発生した際などに海由来の土砂などが流入して湖底に堆積して層を作っている。なので、固定をボーリングしてコアを採集すると過去の津波の発生年代などが分かるとされている。
また、 ハマナツメという植物のほぼ北限になっていて、最大級の群落がかつてはあったらしいが、近年著しく衰退していてる。ニホンジカの食害とカワウの営巣による湖の水質悪化が原因と言われている。
総括#
- 航行距離
- 19.12km
- タイム
- 4 時間 43 分
- 平均速度
- 5.3km/h
- 最高速度
- 15.5km/h
- 消費カロリー
- 1,420kcal
美しい銚子川や穏やかな尾鷲湾、須賀利半島の海食崖や須賀利大池など、見どころが多いコースだった。海況が許すなら須賀利半島の海側を漕ぐのも面白そう。